この記事では、バリ島のバンジャールについて解説をしています。
バンジャールは自治組織ですが、かなり強い権力がありバリ島移住を快適にするためには、このバンジャールとの関係性に注意が必要です。
バリ島移住時の家探しの時、ちょっと気を付けたいのが、その土地のバンジャールとの関係性。
バンジャールとはバリ島伝統の自治組織。
町内会ともいわれますが、日本での町内会よりずっと権力が強く、宗教行事や自治についてこのバンジャールがほとんど取り仕切っています。
そのため、バンジャールとの仲がうまくいかないと、その土地に住みづらく引っ越しを余儀なくされるということも。
この記事では、そんなバリ島のバンジャールと外国人移住者との関係やうまく付き合う方法などを紹介しています。
仲間になればとても心強いバンジャールですが、反目しあうと大変なストレスにもなります。
バリ島移住を考えている方は、この記事を最後まで読み、バンジャールについての知識を深めてください。
そして、そのことにより快適なバリ島移住生活を送りましょう。
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その中で家の購入や賃貸に関しては以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもぜひご覧ください。
目次
バリ島のバンジャールとは
バンジャールとは町内会のようなものと言われますが、たんなる町内会とはわけが違います。
ここでは、そんなバンジャールについて詳しく説明していきます。
バンジャールは行政の最小単位
バリ島の行政は州・県・郡・村・バンジャールという構造になっています。
私が住んでいるところを例に挙げると
「バリ州ギャニャール県ウブド郡プリアタン村バンジャール・トゥンガーカウー」
となり、このトゥンガーカウーがバンジャール名になります。
日本の行政単位に当てはめてみますと、バンジャールは町や地域にあたります。
その事からバンジャール=町内会と言われます。
が、たんなる町内かではないのです。
バンジャールは地域内の既婚男性の組織
バンジャールは既婚男性、つまり家長で構成されています。
バリ島では、男性は結婚したら一人前。
結婚し、家庭をもって初めて一人前と認められバンジャール組織への加入が許されます。
男性でも未婚の内は、その家の家長(父親)の扶養家族的な扱いになります。
女性の場合は?
未婚の場合は父親の扶養家族。
結婚したら旦那さんの扶養家族。
といった、位置づけです。
女性は、バンジャールの正会員になれないの?
はい、なれません。
時代にそぐわないかもしれませんが、そのようなしきたりになっています。
バンジャールの始まりは8世紀
バンジャールは8世紀にバリ島を訪れたジャワの高僧ルシ・マリカンディアがその基礎を作ったと言われています。
もともとはバリ・ヒンドゥー教の宗教行事を行うための組織。
バリヒンドゥー教の宗教行事は、大掛かりなものが多いので、地域の人たちで協力して行いましょうというのが目的だったのですね。
また、バリ島は男系社会。
家系は男性が中心という考えなので、バンジャールも男性中心の組織になっているようです。
バリ島の生活文化の基本は宗教。バンジャールはその宗教に深く関与しているので単なる町内より権限などが強いのですね
バンジャールの権限について
宗教に根差したバンジャールは、かなり強い権限を持っています。
具体的にどのような権限があるのか?
外国人居住者が関係する事柄を中心に解説します。
宗教儀礼の催行・協力
バンジャールはもともとは地域の宗教行事を行うための組織。
現在でも、地域のお寺の管理やお祭りの催行などが主な役割となっています。
また、バンジャール会員の家庭での宗教行事手伝いも重要な役割。
冠婚葬祭など、宗教行事はとても個人だけでは対応できません。
日本のように葬儀社や結婚式場などありませんから、バンジャールが手伝わないとできません。
バリ島の宗教は生活に密着したもの。
その宗教行事を進めるためにバンジャールは必要不可欠。
また、宗教行事を円滑に行うために、バンジャールには多くの権限があります。
その中でも外国人居住者に関係するのが、寄付金。
バンジャール内での宗教行事には地域内の人が協力してあたります。
しかし、ヒンドゥー教徒でない外国人はその宗教行事に協力することはできません。
その代わりに、バンジャールは寄付金を徴収します。
しかしヒンドゥー教徒でない外国人は宗教行事は無関係だから、寄付金も払う必要はないのでは?
と、思われるでしょう。
確かに、そのような理論で寄付金を払わない外国人もいます。
しかし、そうなるとバンジャールとの関係は悪化していきます。
もともと、自分たちの土地に、外国人が勝手に住み着いているのだから、寄付金くらい出せというのがバンジャール側の考えなんでしょう。
地域の警備
バンジャールの組織内にポチャランという自警団がいます。
主に、お祭りの際の警備などを担当しますが、同時にバンジャール内の日常警備も行っています。
例えば、静寂の日ニュピは外出禁止ですが、この見回りもポチャランの仕事。
たまに、決まりを破り外出している人がポチャランに捕まり、怒られているといった事があります。
このポチャラン、かなり強い権限があり、場合によっては警察も手出しができません。
地域内でのトラブルに対して、ポチャランがその処分を決め、警察は見て見ぬふりをするなんてこともあります。
大変たのもしいポチャランですが、外国人居住者はよそ者ですので初めのころはかなりマークされます。
どこそこに住んでいる外国人がいつ何をしていた、なんて情報もあっという間に伝わってしまいます。
仲間にすると頼もしいですが、敵にすると恐ろしい、ポチャランでした。
町内の行政
身近な所では、ごみの回収。
あるいは、道路の補修、お寺など公共設備の維持管理など行政もバンジャールの仕事です。
(本来は行政はドゥスンという別組織ですが、バンジャールとの関係性も深いので、同一組織として解説します)
この中で外国人が最も関係するのが各種証明書の発行です。
KITAS取得や延長時に必要なドミシリ(Domisili・居住証明書)
SKTT取得時に必要なSurat Pernyataan
これら書類の発行はバンジャールを通じて行います。
他にも会社設立時の承認もバンジャールの役割。
外資会社(PMA)を設立する際、所在地の住民の同意が必要で、これもバンジャールにお願いすることになります。
その為、バンジャールとの仲が悪くなると、これら書類や許可が出してもらえず、その地区から出て行かなくてはならないという事もあります。
宗教行事以外にも、警備や行政など外国人の居住にも深く関係しているバンジャール。仲良くしないとそのエリアに住むことができなくなりますよ
バンジャールとうまく付き合うには
時々バンジャールとの仲が悪くなり、引っ越しを余儀なくされたという話を聞きます。
快適な移住生活を送るにはバンジャールとの仲も重要。
その為にバンジャールとの仲をよくする方法について解説します。
バリ人を介してバンジャールと付き合おう
外国人が直接バンジャールの役員などと交渉しても、言葉や常識などの差から話がこじれることがあります。
そうならないためにも、直接話をしないで、バリ人を間に立てるといいでしょう。
バリ人宅に下宿している
バリ人が経営するアパートに住んでいる
バリ人から家を借りている
こういう方は、大家さんにお任せするのがいいですね。
神事への協力や寄付などは大家さんに交渉してもらいましょう。
また、必要書類なども大家さんにお願いして取ってもらいましょう。
他にも騒音など苦情があったら、まずは大家さんに相談してみるのがいいです。
もちろん、普段から大家さんとは仲良くしておく必要があります。
バンジャールの幹部と仲よくしよう
自分で土地を購入して家を建てたので大家さんはいない。
大家さんはよその土地の人なので、バンジャールとつながりがない。
こうなると、自分でバンジャールの相手をしなくてはいけません。
こんな場合は、バンジャールの幹部と仲良くなることが一番。
日ごろから挨拶をしたり、いろいろ協力したり、日本からのお土産を差し入れるなどして友好関係を築いておきましょう。
そうすれば、いろいろ便宜を図ってもらう事もありますよ。
こんなバンジャールは避けた方が良い
快適な移住生活を送るにはバンジャールと仲良くなっておくのが一番ですが、中にはどうしても仲良くなれないバンジャールもあります。
このような、良好な関係性が保てないバンジャールの地区には住まない方がよいです。
外国人を嫌っているバンジャール
外国人やバリ人以外のインドネシア人がバンジャール内に住んだり、ヴィラを建てたり、会社を設立するのを嫌うバンジャールもあります。
- 会社の設立同意を出さない
- 必要な書類を発行しない
- ごみ回収などをしない
といった事をされたという話もあります。
外国人から多額の金銭を取ろうとするバンジャール
外国人は金持ちと考えているのか、とにかくお金を取ろうとするバンジャールがあります。
- 必要書類の発行手数料
- 町内会費
- お祭りや行政事業の寄付金
これら費用が常識を超えるほど高いバンジャール。
とにかく、お金ばかりかかるところは避けた方がいですね。
家を決める前に確認しておくこと
住む場所のバンジャールが外国人に対して友好的かどうかの見極めは大切です。
住んでみたら、前項の避けた方が良いバンジャールだったなんてことになったら、大変です。
快適な移住生活は送れなくなりますし、引っ越すと言っても費用もバカになりません。
家を決める前に、そこのバンジャールが友好的かどうかを確かめる方法。
それは住んでいる外国人、特に日本人にバンジャールの状況を聞く事です。
そうすればバンジャールが友好的か非友好的かすぐにわかります。
もし、そのエリアに外国人が誰も住んでいなければ?
そのエリアはおススメできません。
バンジャールが非友好的で外国人が寄り付かない場所かもしれません。
あなたがそこに住むのが初めての外国人だったら?
非常に厄介です。
多くのバリ人は、外国人はみんな金持ちだから、いくらでもお金を出してくれると思っています。
間違いなく、お金をたかられるでしょう。
外国人がいない、素朴なバリ人に囲まれて暮らしたい!
確かに、素朴で友好的な人もいます。
しかし、その確率は低いでしょう。
家の問題ですから、住み始めてすぐに引っ越すというのも大変です。
ですので、家を決める前に、そこのバンジャールが友好的かどうかを見極めるのはとても大切な事なんですよ。
バリ島バンジャールのまとめ
今回はバリ島のバンジャールについて紹介しました。
バンジャールとは町内会のようなもの。
もともとは宗教行事を円滑に行うための組織だったのですが、現在は宗教行事のほかに行政や地域の自衛なども行うようになり、それに伴い権限も強くなっています。
外国人がバリ島に移住する場合、居住地区のバンジャールとの関係性に十分注意が必要です。
バンジャールとの関係性が悪くなると、必要な書類や手続きが滞ってしまったり、嫌がらせを受けることも。
うまくバンジャールと付き合うには、大家さんなど地元のバリ人を介して付き合うとか、バンジャール幹部と日ごろから仲良くしていくといったことが必要です。
しかし、中には最初から外国人を拒絶するバンジャールもあります。
なので、家探しの際は、そこのバンジャールが外国人に対し協力的かどうかもしっかりと見極める必要があるんですね。