この記事では、日本人など外国人がバリ島のビラや家、土地を購入する方法や注意点について解説しています。
バリ島の不動産に関するルールは日本と違い、そのため不動産絡みのトラブルが起きています。
そのようなトラブルに合わないためにも、バリ島の不動産のルールをしっかりと理解しておきましょう。
バリ島をはじめとしたインドネシアでは、外国人が土地を所有することはできません。
しかし、バリ島内の土地を購入し、ビラを建てたり、または不動産ビジネスをしている外国人は沢山います。
土地を所有することはできないはずなのに、どうやって不動産ビジネスを行っているのでしょうか?
外国人は土地の所有はできませんが、有期限ですがその土地を使用する権利を持つことができ、またその権利を使って土地登記もできるのです。
このような法律を基に、外国人でも土地やビラなど不動産の売買’ができるのです。
この記事では、日本人がバリ島のビラ、家、土地など不動産を購入する方法や、投機目的での売買についてなるべくわかりやすく情報シェアいたします。
また、日本とは違うインドネシアの不動産の登記についても紹介いたします。
バリ島・インドネシアの不動産の法律は日本とちょっと違うため、過去多くのトラブルが発生しています。
今回紹介する情報をもとに、バリ島でのヴィラ、家、土地購入についての状況をご理解ください。
それにより、不動産売買でのトラブルに合わないようにしましょう。
YouTube動画でも土地制度について解説しております。
目次
バリ島で土地や家、ビラを買う方法
まず、知っていただきたいことは、外国人はバリ島・インドネシア国内の土地を所有することはできないという事です。
では、どうやって土地を買ったり、家やヴィラを建てるのでしょうか?
それには、以下3つの方法があります。
・インドネシア人から土地を借りる
・インドネシアの会社から土地を借りる
・土地の使用権を使い購入・登記をする
それでは、各項目について詳しく説明していきましょう。
なお、説明の中で所有権、建設権、使用権と言った専門用語が出てきます。
この専門用語については、最終章「バリ島での不動産登記について」にて細かく説明していますので、気になる方はそちらから読まれるといいでしょう。
インドネシア人から土地を借りる
インドネシア国籍を持つ人=インドネシア人なら土地を所有し、それを自由に使うことができます。
そこで、その土地の所有権を持つインドネシア人から土地を借りるという方法をつかうのです。
すでに特定の所有者がいる土地なら、その所有者と掛け合って、土地の賃借契約を結びましょう。
あるいは、売りに出ている土地を利用したければ、インドネシア人にその土地の所有者になってもらい、そのインドネシア人と賃借契約を結び土地を使用します。
この時、注意することはしっかりとした賃借契約を結ぶこと。
ノタリスという司法書士がいますので、そこに依頼して正規の賃借契約を作ってもらいましょう。
以前は、この賃借契約がいい加減だったり口約束だったりして、トラブルになりました。
トラブルを回避するために、必ずノタリスの基で賃借契約を作ってもらいましょう。
インドネシアの会社から借りる
インドネシア籍の会社なら、その土地を50年間利用することができる建設権(Hak Guna Bangnan)を持つことができます。
これを利用して、会社名義でその土地を購入し、そこから借りるという方法です。
もし、あなたがバリ島で会社を経営しているのなら、その会社名義で土地を購入・登記し、そこに家やヴィラを建設するといいでしょう。
会社を持っていない場合は、不動産会社やヴィラ管理会社名義で土地を所有し、その会社との間で賃借契約を結び家やヴィラを建てます。
この場合注意しなくてはいけない事は、建設権は50年しか使えないという事です。
50年たったら、その土地は元の地主や国に返却しなくてはいけません。
つまり、建設権を持っている会社とどんな契約をしようと、最長50年しかそこを使う事はできません。
このことは、忘れずに購入、賃借、投資、契約をするようにしてください。
ところで、建設権が切れる場合、その土地はどうするのがいいのでしょうか?
黙っていたら、元の持ち主や国に返さなくてはいけません。
そうなる前に、その土地を売却します。
売却する相手はインドネシア人です。
インドネシア人なら、その土地に所有権を付けることができます。
この場合は、土地そのものの評価額で売ることが可能。
ただし、建設権の期限が迫っている場合は、かなり買いたたかれますから、期限に余裕があるうちに売ってしまうのが得策と言えます。
KITAS,KITAPを取得し使用権で登記する
外国人個人は土地を所有することができませんが、数年前に法律が変わりKITAS、KITAPという居住許可をもつ外国人は最長50年間は土地を使用できることになりました。
これを使用権(Hak Pakai)と言います。
この権利を使えば、外国人個人でも土地を登記することができます。
ただし、使用権が使えるのは最長50年間でそれを過ぎると、元の持ち主か国に返却となります。
また、KITAS,KITAPが破棄されると、自動的に使用権は無くなり、これもまた元の持ち主か国に返却しなくてはいけません。
では、使用権が使えなくなる場合、どうしたらいいのでしょうか?
土地は、売却、譲渡、相続が可能。
使用権が切れる前に、インドネシア人に売却すればよいのです。
ただし、企業の建設権の項目でも説明したように、期限が迫ってくると買いたたかれますのでご注意ください。
また、インドネシア国籍のお子さんやご家族名義に書き換えるという事もよくやられています。
インドネシア国籍の方でしたら、所有権が使えますので、ずっとその土地を使えるのですね。
土地、家、ヴィラの購入方法のまとめ
では、この章の内容を簡単にまとめます。
KITAS、KITAPを持っていない場合
・インドネシア人に土地を所有してもらい、その人と賃借契約を結ぶ。
・インドネシア籍の企業に所有してもらい、その企業と賃借契約を結ぶ
KITAS,KITAPを持っている場合
・使用権を使い、土地を所有する(最長50年)
・その所有した土地をインドネシア国籍を持つ家族名義にする
バリ島の不動産投機について
バリ島で不動産投機という話をよく聞きますが、外国人は土地が持てないのなら、投機話は詐欺なのでしょうか?
こんな質問もいただきました。
結論ですが、ちゃんとした不動産会社なら詐欺ではありません。
また、不動産投機も法律にのっとって行えば、危ないことはないです。
この章では、不動産投機について
・土地開発
・ヴィラ運営
・土地の売買
という事を解説します
土地開発
土地開発企業が出資者を募り資金を集め土地を購入。
その土地を開発、区分けをして販売する。
事業によって得た利益は、出資者に分配する。
このようなビジネスモデルになります。
この場合、土地の所有はその開発企業であり、50年間有効の建設権が付けられます。
つまり、50年以内に売らないと、残った土地は元の地主や国の物になってしまいますが、50年間も売れ残るというのは事業として何らかの欠陥があったという事です。
しっかりとしたビジネスプランがある会社なら、土地開発への投資は問題ないと思います。
ビラ運営
ビラ運営会社が、出資者を募り集めた資金で土地を調達し、ヴィラを建設し、販売やリースを行います。
販売やリースで得た利益を出資者に分配するというビジネスモデルです。
この場合注意しなくてはいけないのが、その土地の権利です。
土地はインドネシア人の所有者がいて、そこから契約によって賃借しているのか。
あるいは、その管理会社が建設権を利用して土地を所有しているのか。
これによって、条件が変わってきます。
賃借しているのなら、どのような条件になっているのか。
建設権なら、有効期限はいつか。
まずはこのような土地の権利についてちゃんと調査する必要があるでしょう。
また、そのヴィラの需要や販売見込みはあるのか。
利益率はどの程度あるのか。
このようなビジネスモデルの試算も必要です。
土地の権利や利益率の見込みが甘いと、期待された配当が上がらず、結局損をしてしまう事もありますので、事前調査はしっかりとしておきましょう。
土地の売買について
何度も言いますが、外国人はバリ島内の土地を所有することはできません。
では、土地投機、売買はどうしているのでしょうか?
・土地の使用権を使って売買する
・インドネシア人からの借用権を売買する
KITAS,KITAPを持っている外国人なら80年間の使用権があります。
この使用権を使い土地を所有し、転売するという方法があります。
KITAS,KITAPを持っていない人は土地を所有することはできません。
この場合は、その土地を所有しているインドネシア人や企業からその土地を借り、その借用権を売買することになります。
このように、KITAS,KITAPがないと土地の売買には条件が付きますので、日本国内の土地の転売とはちょっと違うという事を覚えておいてください。
バリ島の不動産投機についてまとめ
バリ島の不動産投機、ヴィラ投機について、詐欺話を時々聞きます。
2019年も日本のグループがバリ島のヴィラ投機を舞台に詐欺事件を起こしたそうです。
このことから、バリ島の投機話=詐欺という事を想われるかもしれません。
しかし、中にはまじめに確実な投機をして、ちゃんと成果を上げているグループもあるそうです。
つまり、バリ島の不動産投機が危ないのではなく、それを管理する会社が危ないという事です。
もし、バリ島の不動産投機の話があったら、その投機話をしている会社が信用出来て、確実なビジネスモデルかどうかを検討するのが基本かと思います。
バリ島での土地登記について
バリ島では外国人は土地を所有することはできない。
これは大原則ですが、実際は条件さえ整えば、所有に近い権利を持つことができます。
この章では、バリ島での土地所有・利用に関する登記について説明します。
インドネシアで個人や法人が土地を所有したり利用するための権利には以下8つのステータス(種類)があります。
- 所有権(Hak Milik)
- 建設権(Hak Guna Bagunan)
- 使用権(Hak Pakai)
- 事業権(Hak Guna-Usaha)
- 借地権(Hak Sewa)
- 開墾権(Hak Menbuka Tanah)
- 林産業徴収権(Hak Memungut-hasil Hutan)
- その他
この中で、土地台帳に登記され権利書が発行されるのは、所有権、建設権、使用権、事業権の4つだけですので、この4つの権利について説明していきます。
所有権(Hak Milik)
個人でその土地を所有する権利で、この権利は親から子、孫と代々相続することができます。
有効期限は基本的に無期限で、譲渡、売買もできるが、相続、譲渡、売買する相手がいない場合、権利は自動的に消滅し土地は国の物となります。
この権利はインドネシア国籍を持つもの、つまりインドネシア国民でなければ持てず、外国人は帰化しない限り、この所有権は持てません。
また、インドネシア資本の会社であっても法人はこの権利を持つことはできません。
建設権(Hak Guna Bangnan)
国有地や個人所有の土地に建物を建設し所有する権利で、HGBと言われています。
土地そのものの所有や使用の権利ではありませんが、その土地に建物を建てて使用できる権利なので、実質上の所有権に近いものになります。
この権利は外資企業(PMA)を含むインドネシア籍の法人に与えられ、権利の譲渡、売買ができます。
権利の有効期限は30年間でさらに20年間の延長が可能です。つまり最長50年間権利の保有ができます。
権利消滅後は速やかにその土地は国もしくは所有者に返還されます。
個人所有の土地への建設権は建設者と所有者の間の合意を土地証書作成官(PPAT)の下で証書化する必要があります。
使用権(Hak Pakai)
国有地や個人所有地を使用する権利です。
土地の所有ではありませんが、使用する権利ですので、実質所有と考えてもいいかと思います。
この権利はKITASやKITAP(居住許可)を持つ外国人個人に与えられ、また譲渡、売買もできます。
KITASについては、以下の記事に詳細をまとめてありますので、ご一読ください。
>>KITASの取得方法や取得意義について
この権利の有効期限は30年でその後20年延長ができ、最長50年間保有することができます。
ただし、KITAS,KITAPの所持が消滅したり、有効期限が切れた場合は権利は消滅し、土地は国もしくは所有者に返却されます。
また、KITASがあっても、最低50億ルピア(約4,000万円・100憶ルピア以上との情報もあります)以上の土地でなければ、この使用権は認められません。
事業権(Hak Guna-Usaha)
農業、水産、畜産用に5ha以上25ha以下(法人の場合25ha以上も可能)の国有地を使用する権利。
インドネシア国籍の個人やインドネシア籍の法人(PMAも可能)が取得でき、有効期限は35年間。
さらに個人なら25年間、法人なら35年間の期限延長が可能です。
この権利は農業、水産、畜産用の土地の利用に関するもので、家を建てたり投機をする事はできません。
土地登記についてのまとめ
土地の登記、権利書の発行ができる権利は4つありますが、外国人個人が土地を登記するには使用権(Hak Pakai)という権利を使うことになります。
ただし、KITAS、KITAPの所有と4,000万円以上の土地という制限がついています。
ということで、バリ島での土地、家、ヴィラの購入方法についてなるべく簡単に解説しました。
簡単と言っても、土地の登記や権利、投機などが絡んで切るので、かなりややこしいお話になります。
投機目的や移住目的でバリ島の土地を買いたい、ヴィラや家を建てたいという話はよく聞きます。
しかし、外国人の不動産投機、所有はいろいろな規制もあるので、簡単に考えず、しっかりと調査、勉強されるのが一番かと思います。
バリ島で土地、家、ビラを購入する方法まとめ
バリ島をはじめとしたインドネシアでは外国人は土地を所有することはできません。
ただし、その土地を一定の期間使用することができます。これを使用権と言います。
使用権は、居住許可(KITAS,KITAP)をもつ外国人に与えられる権利で、最長50年間、その土地を使用することができる権利。
また、土地を売却、譲渡、相続することもできます。
この使用権を使い、土地を購入し、ビラを建てて生活している外国人は数多くいます。
また、インドネシア人が所有する土地を契約により借りて利用するという方法もあります。
この場合は、貸主との間でしっかりとした賃貸契約が必要。
以前は口約束だけで土地を借りていたため、トラブルが多く発生していました。
土地やビラを借りる場合はしっかりとした契約書を作成しましょう。
使用権を使って土地を購入・登記するにせよ、土地の所有者から借りるにせよ、不動産関係は手続きもかなり面倒。
素人判断だけで進めると必ずトラブルが発生します。
必ず専門不動産会社などを通じて、しっかりと法律にのっとった形で購入、賃貸をしましょう。