
この記事ではバリ島の永住権と言われるKITAPについて紹介します。
永住権と言えば、アメリカのグリーンカードを真っ先に思い浮かべるでしょう。
グリーンカードを取得すれば、アメリカ合衆国への入出国、居住、そして仕事の自由が保障されます。
つまり、グリーンカードを取れば、地元の人と同じように生活ができると考えてもいいですね。
では、バリ島にもグリーンカードのような制度はあるのでしょうか?
具r-んカードのような永住権があれば、居住、就労、不動産所有等がぐっと楽になり、移住へのハードルも下がりますよね。
結論から言うと、バリ島・インドネシアには永住権という制度はありません。
ただし、KITAP(常時居住許可)という制度があり、これをバリ島・インドネシアの永住権と言っている方もいます。
ただし、KITAPは滞在の自由は保障されていますが、就労や土地の所有の自由はないので、皆さんが考えている永住権とはちょっと違うかもしれないですね。
今回は、永住権と言われるKITAPについて、取得すると何ができるのか、また取得する方法などについて解説していきます。
この記事を読んで頂ければバリ島の永住権についての状況がわかります。
海外移住を検討している方にとって、永住権取得の可否は移住先選定の大切な条件の一つです。
この記事がその移住先選定の参考になれば幸いです。
目次
居住許可KITAS、KITAPとは?永住権とは違うのか?

バリ島・インドネシアには外国人向けにKITAS,KITAPという居住許可制度があります。
この制度はあくまで有期限の居住を(滞在)を許可しているだけであり、一般に考えられている永住権とはちょっと違います。
ここでは、この居住許可KITAS,KITAPについて紹介します。
KITAPとは常時居住許可
KITAPとは、常時居住許可。
つまり、インドネシア国内に長期滞在して良いですよという許可になります。
常時居住許可という事から、永年居住ができる=永住権であると考えられています。
しかし、常時と言っても有効期限があり、5年たったら延長手続きをしなくてはなりません。
また、居住(滞在)を許可しているだけであり、就労についてはまた別な許可(労働許可)が必要となります。
KITASとは1年限定の居住許可
KITASは暫時居住許可という1年限定の居住許可です。
KITASは1年限定ですが、延長手続きをすれば最長で5年間居住が可能。
5年たったら、今度はKITAPを取るか、またKITASを取り直しとなります。
永久に居住できるKITAP Unlimited
KITAS,KITAP以外にKitap Unlimitedという制度があります。
これは、Unlimitedというくらいですので、永久に使えるKITAP。
つまり永久居住許可という事になります。
ただし、KITAP Unlimitedでも5年ごとに届け出が必要です。
全くの永久許可という訳ではないようです。
ビザとは入国許可
ビザとは、外国人が入国するために必要な入国許可です。
KITAS,KITAPとは、入国した外国人が居住するために必要な許可。
移住や長期滞在する場合は、ビザの他に、KITAS,KITAPが必要です。
常時居住許可KITAPは常時居住を許可しているので永住権と考えられていますが、実際は5年という有効期限が定められていますから、永住権とはちょっと違うのではないでしょうか?
KITAP でできる事、できない事

バリ島の永住権KITAP。
KITAPなら、仕事や出入国も自由に行えるのでしょうか?
実は、KITAPは滞在、居住は可能ですが、出入国や仕事はKITAPだけではできないのです
KITAPでできる事
- バリ島内に居住すること
- 土地を購入すること
- 車やバイクの免許の取得
- KTP(IDカード)の発行
バリ島内に居住すること
先ほども説明したように、KITAPならば5年間、KITAP Unlimitedなら無期限でバリ島(およびインドネシア)内に住むことができます。
土地を使用すること
バリ島では、外国人は土地を所有することはできません。
しかし、KITAS,KITAP,KITAP Unlimitedがあれば、50年間の使用権を持つことができます。
使用権とは、その土地を自由に使うことができる権利で、所有権とは違いますが、ほぼ所有していると同じことになります。
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KITAS,KITAPを所有する外国人には最長80年の土地の使用が認められています。このようなバリ島での土地の所有権などについては以下の記事が詳しいので、興味のある方はぜひご覧ください。
車やバイクの免許の取得
以前は、旅行者でも免許は取得できましたが、現在はできません。
免許の取得はKITAS,KITAPが必要です。
KTPの発行
KTPとは、インドネシアの身分証明書で17歳以上のインドネシア国民なら全員持っています。
KITAPがあれば、外国人用KTP( KTP Asing)を作ることができます。
KITAPだけではできない事
- 自由に仕事をする事
- 自由に入出国すること
- 選挙権
仕事をする事
KITAPやKITAP Unlimitedを持っていたからといっても、自由に仕事をすることはできません。
仕事をするには、労働許可が必要です。
労働省に申請をして、労働許可を取らなければ、違法就労になります。
この後、KITAPが取れる条件に付いて説明しますが、就労ビザではKITAPは取れません。
KITAPが取れる、インベスタビザ、リタイアメントビザでは労働許可は降りません。
つまり、KITAPだけでは仕事ができないと考えていいと思います。
注意
インベスタビザで仕事ができるのでは?と考えられた方もいると思います。
インベスタビザとは投資家ビザの事で、投資家や会社経営者に与えられるビザです。
基本的に、投資家や会社経営者は労働はしないという考え方になります。
注意
婚姻ビザ(家族ビザ)保有者は、労働許可が降りるそうです。
ただ、勘違いしてほしくないのは、婚姻ビザさえあれば仕事ができるという事ではありません。
ビザ、KITAS、KITAPを持っていても、必ず労働許可を取得してください。
自由に入出国すること
KITAPを持っていても、自由に入出国はできません。
入出国するには、マルチプル・リエントリー・パーミット(再入国許可)という許可を取らなくてはいけません。
このマルチプル・リエントリー・パーミットは2年間有効で、KITAP取得、延長時には必ず合わせて取得が必要。
ただし有効期限が2年なので、それ以降海外に行く場合は、また取得しなくてはいけないのです。
選挙権
KITAPを持っていても、選挙に立候補することはできません。
また、本来は、選挙権(投票権)もないはずなのですが、地区によってはKITAPがあれば投票もできるそうです。
KITAPは永住権と言われていますが、アメリカのように仕事や自由な入出国はできませんので、ご注意ください
KITAPおよびKitap Unlimitedが取れる条件

アメリカの永住権とはちょっと違いますが、無期限でバリ島に住めるKITAP、KITAP Unlimited.
その取得条件を説明します。
KITASで5年滞在
KITAP は、いきなり取ることはできません。
まず、KITASを取って5年以上滞在します。
5年間滞在したら、KITAPを申請することができます。
KITAPを取って、5年滞在したら延長手続きをし、さらに5年滞在したらKitap Unlimitedが取得できます。
つまり、KITASで5年、KITAPで10年、合計15年以上に滞在しなければKITAP Unlimitedは取得できません。
注意
ただしこのKITAP,KITAP Unlimited取得するための最低滞在年数ですが、良く変わるそうです。
今回は15年という話でしたが、8年でUnlimitedが取れたという話も聞きました。
学生ビザや就労ビザではKITAPは取れません
KITAPを取ることができるのは、以下のビザを取得した人だけです。
- 婚姻ビザ(インドネシア人と結婚した人)
- インベスタビザ(投資家や会社経営者)
- リタイアメントビザ
学生ビザや就労ビザではKITAPは取れません。
KITAPが取れないということは、KITAP Unlimitedは取れないという事です。
KITAP,KITAP Unlimited取得の費用
- KITAPの新規取得費用:Rp5.000.000
- KITAPの延長費用:Rp5.000.000
- KITAP Unllimitedの取得費用:Rp10.200.000
- マルチプル・リエントリーパーミット(2年)取得費用:Rp1.750.000
こちらの費用は入国管理事務所への支払い費用です。
手続きをビザエージェントに依頼する場合は、これにエージェントの手数料などがプラスされます。
バリ島の永住権は取る価値があるのか?
婚姻ビザでバリ島に滞在している方に、KITAPおよびKITAP Unlimited取得の意義について聞いてみました。
KITAPは手続きが5年に一度になるので取得意義は高い
KITASは毎年講師手続きをしなくてはいけませんが、KITAPになればそれが5年に一度になるので、大変助かる。
KITAPは長年バリ島に住むのなら絶対取得した方がいい。
ただ、仕事をするには別に労働許可がいるから、そこは注意が必要。
KITAP Unlimitedは微妙?
Unlimitedですが、一度取れば費用も、手続きも一切要らないと思っていました。
しかし、5年に一度の手続きと、リエントリーパーミットの費用が掛かるから、人によっては取らない事もあるんじゃないでしょうか?
以上の事から、バリ島のKITAPは、一般的に考えられている永住権とはちょっと違うという事を十分理解していただきたいと思います。
近隣諸国の永住権
という事で、バリ島の永住権、KITAPについて説明をしてきました。
意外と期待はずれだったでしょうか?
そこでバリ島近隣諸国の永住権についても調べてみました。
バリ島の永住権とも比較し、将来の移住先選定の参考にしてください。
フィリピンの永住権
フィリピンにはクオータービザという永住が可能なビザ制度があります。
このビザは、取得条件や継続条件がすごく緩いので世界で一番取りやすい永住権と言われています。
フィリピン国内の永久的な滞在はもちろん、就労も可能。
このような便利なビザ制度なので人気が高く、また1カ国当たりの1年での発行数量の制限もあるため競争率はとても高いという事です。
マレーシアの永住権
マレーシアには、永住権という制度はありません。
ただし、MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)という制度があり、10年という期限付きではありませんが長期滞在が可能なビザがあります。
このMM2Hは、取得年齢の制限はなし。
しかし、財産証明と安定した収入証明が必要という事で、かなりの預貯金と収入がないと取得するのは難しいようです。
タイの永住権
タイには永住権制度があります。
ただし、とても敷居が高い。
まず、1年間に1カ国100名という人数制限があります。
また、婚姻ビザや就労ビザ、投資ビザでなければ取れず、永住権があっても就労するには労働許可を別に取る必要があるそうです。
ベトナムの永住権
ベトナムにも永住権はありますが、こちらも取得条件がとても難しいのです。
ベトナムの発展に寄与して政府から認められた外国人
ベトナム人と婚姻関係にある外国人
このような条件をクリアーしないと永住権は取れません。
カンボジアの永住権
カンボジアには長期滞在ビザやリタイアメントビザ制度はありますが、永住権という制度はないです。
マラソンで注目を集めた、ねこひろし氏はカンボジア国籍になっている、つまり帰化しているので永住権を取って滞在しているわけではありません。
バリ島の永住権KITAPについてのまとめ
今回はバリ島の永住権と言われるKITAPについて紹介してきました。
永住権というと、死ぬまでその国に滞在ができ、就労や不動産所有なども現地の方と同じように自由にできる制度と考えてしまいます。
しかし、バリ島の永住権と言われるKITAPは、滞在をすることはできますが、5年間という期限付きです。
また、就労も許可が必要で自由ではありません。
不動産も長い期間の使用権はありますが、所有権はないのです。
このように、KITAPは永住権というにはちょっと制限が多すぎるように感じます。
KITAPさえ取れば、永住できるという訳ではありませんので、移住を検討する際には勘違いしないようにしてください。